暮らしを訪ねて
一緒に歳を重ねていく木組みの家
三人の男の子を持つS家。既に社会へ出たご長男に続き、部活動に励むご次男が家に居ないことも多くなり、年が明けた1月、年の離れた兄弟の末っ子であるご三男の兄弟分として、フレンチブルドッグのイギーが家族に仲間入りしました。ずっと犬を飼いたかったというSさん、「まだここで誰にも抱っこされていない」という、到着したばかりのイギーに出会い、家族に迎える決断をしました。まったりと落ち着いた性格で、普段は薪ストーブのある土間で過ごしています。
この家は、完成して約8年。ちょうど3番目の息子さんと同じ年です。「家族がなるべく部屋にこもりきりにならないようにしたいと思いました。下の階から呼べば、聞こえるのがいいところ」と奥様。玄関土間、 ダイニングキッチン、二階へ続く階段と、それぞれゆるやかにつながるリビングは、心地の良い静けさです。
普段は、家中開け放っていることが多いという、部屋のドアは全て引き戸。空気が循環し、冬場は薪ストーブの暖かさが各部屋にも届くので、温度差が少なく快適なのだそうです。
「実は、南側に大きな窓が無いんです」というSさん。デッキへと続くリビングの窓から望むのは、落葉樹の木陰が心地よい庭。その奥には遠くへ続く豊かな田畑も垣間見え、家々に囲まれているころを忘れてしまうような、周辺環境のことをよく考えた間取りになっています。
明るいリビングが何かともてはやされる昨今。無理に南側の窓に明るさを求めず、静けさと落ち着きを大切にした空間は、日本人の根底にある心に響き、その心地よさを感じ取るのでしょう、客人は思わず長居をしてしまうのだといいます。
訪れた人からは「あれは何」と訊かれることが多いという「込み栓」は、木組みの家の証。2階は熱が集まりやすいという理由から、風通しの目的も兼ねて、部屋を全て壁で覆わず上部を開けています。
- 宇都宮市 S様邸
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- 木組み
- 設計/海老原綾(有限会社都研/海老原綾建築設計スタジオ)
- 延床面積/47.07坪(1階) 29.02坪、(2階) 18.05坪
- 家族構成/夫婦+子供2人
- 施工期間/2010年2月〜2010年12月
- 木材/県産材・国産材
- 面材/モイス
- 基礎/ベタ基礎
- 基礎断熱/スタイロフォーム
- 屋根/三州瓦(いぶし瓦)
- 外壁仕上/塗り壁
- 壁断熱材/羊毛
- 床材/カバ桜無垢材 (1階)、杉無垢材 (2階)
- 内壁仕上/珪藻土塗り
- 天井/杉化粧板 (1階)、小屋表し+杉化粧板 (2階)
- 木部塗装/自然塗料 (プラネットカラー)