株式会社 家守|栃木県宇都宮市『木組みの家』

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CASE STUDY #02

やわらかな光のピアノスタジオ

「片方のピアノは、妻が音大に通っていた頃に借りていた部屋にあったもので、愛着が湧いて連れ帰ったものなんです」
グランドピアノ2台が仲良く並ぶ10畳の防音室は、ピアノ講師をされている奥様のレッスンスタジオ。外部との間に大きなガラス窓と明るい廊下を配した、防音性と明るさの両方を兼ね備えた設計で、そよそよと庭の木が風になびく様子が見える、スタジオらしからぬ明るい空間。このスタジオに似合うよう、建具屋で誂えた木の防音扉も付けました。
「素人目線の要望や質問にもアドバイスをしていただき、ほとんど最初に提案していただいた設計通りにすすみました」

□ 左 回るアナログレコードを聞きながら、ゆっくりと時間が流れるリビング。 □ 右 廊下にはレコードやCD、本などが収納できる造作棚を設置しました。

□ 左 洗い出し仕上げの玄関。無垢材との相性が良く、空間に表情が加わります。 □ 右 ギターはご主人のもの。音楽好きなご夫妻です。

N様が家を建てるにあたり、ピアノスタジオを作ることに加え、もう一つ譲れない条件がありました。それは、「おじいちゃんのケヤキ」を使うこと、さらにそれを使いこなせるだけの技術と知識を持っていること。奥様のお爺様が林業を営んでいたことから、どうしても使いたかったといいます。硬質で美しいケヤキですが、完全に乾燥するまでに年月がかかるだけでなく、あばれや狂いも大きいため、扱いが難しい木。大切な思いが詰まったこの木をできる限り無駄にしないよう、最大限活用しました。こうして床に貼られたケヤキは、冬には乾燥で板同士の隙間が開き、夏には閉じてを繰り返しながら、日々呼吸をしています。
「木の家を検討し始めてから、さまざまな所を見学しましたが、最初から茶色く塗って完成時にピークを持ってくるのではなく、年月を経て色が変わる良さや味わいがあるほうが好みでしたし、和のようで北欧のようでもある、この少しモダンな雰囲気が気に入っています」
というN様。ご夫婦揃って音楽好きなお二人の、音楽が似合う木のぬくもりのある家。リビングではジャズのアナログレコードが控えめに流れ、時折吹く静かな風を感じる、大人の落ち着いた時間が流れていました。

□ 左 雨戸と障子。和室でなくても違和感なく馴染む。 □ 右 アイアン作家さんによるハンドメイドの手すり。全体のバランスを見ながら、異素材を取り入れる。

□ 左 ガラス作家さんによるハンドメイドの外灯。 □ 右 建具屋さんが作ったあたたかみのある防音扉。

DATAやわらかな光のピアノスタジオ
海老原 綾

一級建築士(海老原綾建築設計スタジオ)

日本大学理工学部卒業。藤本宗弘建築デザイン事務所(.MAアーキテクト)勤務。アーキスタジオ川口勤務、川口とし子氏に師事。2007年に、有限会社都研、海老原綾建築設計スタジオ設立。個人住宅のほか、益子町のstarnetストアのリノベーションに携わるなど、多くの実績を持つ。

■ 設計/海老原綾
 (有限会社都研/海老原綾建築設計スタジオ)
■ 延床面積/41.82坪
 (1階) 28.30坪、(2階) 13.52坪
■ 家族構成/夫婦
■ 施工期間/2016年11月〜2017年4月
■ 木材/県産材・国産材
■ 面材/モイス
■ 基礎/ベタ基礎
■ 基礎断熱/スタイロフォーム
■ 屋根/ガルバリウム鋼鈑
■ 外壁仕上/塗り壁
■ 壁断熱材/羊毛
■ 床材/ケヤキ・カバ桜無垢材 (1階)
  杉無垢材 (2階)
■ 内壁仕上/珪藻土塗り
■ 天井/杉化粧板 (1階)
  小屋表し+杉化粧板 (2階)
■ 木部塗装/自然塗料 (プラネットカラー)
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